た~
台川

台川 宮沢賢治   〔もうでかけましょう。〕たしかに光がうごいてみんな立ちあがる。腰こしをおろしたみじかい草。かげろうか何かゆれている。かげろうじゃない。網膜もうまくが感かんじただけのその光だ。 〔さあでかけま […]

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さ~
最後の一句

最後の一句 森鴎外 元文げんぶん三年十一月二十三日の事である。大阪おおさかで、船乗り業桂屋太郎兵衛かつらやたろべえというものを、木津川口きづがわぐちで三日間さらした上、斬罪ざんざいに処すると、高札こうさつに書いて立てられ […]

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か~
黄色な顔

黄色な顔 THE YELLOW FACE コナンドイル Conan Doyle 三上於莵吉訳 私は私の仲間の話をしようとすると、我知らず失敗談よりも成功談が多くなる。無論それらの話の中では、私は時によっては登場人物の一人 […]

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あ~
いいおじいさんの話

いいおじいさんの話 小川未明 美うつくしい翼つばさがある天使てんしが、貧まずしげな家いえの前まえに立たって、心配しんぱいそうな顔かおつきをして、しきりと内うちのようすを知しろうとしていました。 外そとには寒さむい風かぜが […]

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か~
カール・マルクスとその夫人

カール・マルクスとその夫人 宮本百合子 一 カールの持った「三人の聖者」 ドイツの南の小さい一つの湖から注ぎ出て、深い峡谷の間を流れ、やがて葡萄の美しく実る地方を通って、遠くオランダの海に河口を開いている大きい河がある。 […]

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あ~
ああしんど

「ああしんど」 池田蕉園 よっぽど古いお話なんで御座ございますよ。私の祖父じじいの子供の時分に居りました、「三さん」という猫なんで御座ございます。三毛みけだったんで御座ございますって。 何でも、あの、その祖父じじいの話に […]

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あ~
アーサー王物語

アーサー王物語 KING ARTHUR'S ROUND TABLE テニソン Tennyson 菅野徳助、奈倉次郎訳 本叢書は洽ねく大家の手に成るもの、或は青年の必讀書として世に傳はるものゝ中より、其内容文章共に英文の至 […]

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あ~
ああ玉杯に花うけて

ああ玉杯に花うけて 佐藤紅緑 豆腐屋とうふやのチビ公はいまたんぼのあぜを伝ってつぎの町へ急ぎつつある。さわやかな春の朝日が森をはなれて黄金こがねの光の雨を緑の麦畑に、黄色な菜畑に、げんげさくくれないの田に降らす、あぜの草 […]

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あ~
ア、秋

ア、秋 太宰治 本職の詩人ともなれば、いつどんな注文があるか、わからないから、常に詩材の準備をして置くのである。 「秋について」という注文が来れば、よし来た、と「ア」の部の引き出しを開いて、愛、青、赤、アキ、いろいろのノ […]

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あ~
ああ華族様だよ と私は嘘を吐くのであった

ああ華族様だよ と私は嘘を吐くのであった 渡辺温 居留地女の間では その晩、私は隣室のアレキサンダー君に案内されて、始めて横浜へ遊びに出かけた。 アレキサンダー君は、そんな遊び場所に就いてなら、日本人の私なんぞよりも、遙 […]

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